ワレワレ #29

Cikさんが2月7日付の日記で触れているセブンイレブンのCM”勇気”について書いてみる。
僕もこの小品は、とてもいいと思う。 
Cikさんが良いと思っていることとはまるで別のことを書くけれど、
ほかの三編に比べてもこれがとても優れていると思うのは、きちんと物語があるからだ。
 
http://main.sej.co.jp/03/cm_kigyou/cm_kigyouright.html
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こういうイメージでやっていきたいぜというセブンイレブンの主張を、
想像上のワンシーンを使って映し出すというCM。テーマはほんわか。
 
「勇気が欲しいんですけど」
「ありますよ、あなたの中に」
 
日常の中にあるかもしれない会話のシーン。
これでもう、たいがいのイメージ効果は消化できている。
他の三編はそれで終わり。
だけど、この一編には後半にもうワンシーンがある。
カメラが動く。
 
「結婚してください」
 
ここで一気に日常が逆転してファンタジーが起こるわけだ。
見ている観客はいっぺんに物語の世界に落ち込む。
三島由紀夫のいうところの、炭取りが回るような瞬間に立ち会うことになる。
そして彼女がうなずく。
物語は終わる。
 
たったの四アクションだけど、きちんと起承転結があることで
15秒の間に人は一度地上を離れ、また戻ってこられるようになっているのである。
小説であれ、映像作品であれ、なんであれ
きちんとまとまって良く出来ているものが好きです。
そういう風にものを作りたい。