ヒビ#86

 
猫ヶ洞という場所が名古屋にはある。ねこがほら、と読む。
この辺りには池と広大なお墓があって、少し高い位置からだと街の景色も見渡せる。
ピラミッドみたいな墓石群と誰もいない森。これらは全部猫の墓ではなくて、たぶん人の骨が埋まってる。
 
チャリに乗って高速で坂を延々にくだりながらぼんやりと墓地の廻りを一周した。不思議な気分になる。
たくさんの猫がこっちを見ているのである。
ここ猫ヶ洞池ではヘラとブラックバスが釣れるのだそうだ。あいにくと釣り道具を持ってきてない。
そういうところに猫は集まるのだろうなあ。などとしきりに納得をした。
 
***
 
ようするにパフュームのインストアに駆けつける道すがら迷ってしまっていたとゆう話。
俺は今年汗をかきすぎる。

オンガク

Polarisのライブはまるで宇宙船のよう。
ビートに乗って地上を離れ
ハーモニーにまかせて宙を漂う。
 
船はいろんな星々を周って
流星群や、ガスやチリや
時には隕石の間を縫って飛行する。
 
オオヤユウスケの声は僕たちをいろいろなところへ連れてゆき
鉄壁のリズム隊が完璧な操縦で僕たちを楽しませてくれる。
 
***
 
奇妙な植物の星、花でいっぱいの星
夜と昼のない星、月ばかりの星。
 
たくさんの星を旅するのだけれど
そこには三角の目をした宇宙人などいない。
Polarisがみせるのはただ広大な世界に広がる自然現象。
 
緑、空、山、川、土手、道、自転車。
僕らはふいに現実にひきもどされる。
 
**
 
ライブが終了する。
 
からからになった口のなかを舌で探ると
とっくにかみさしになったガム。
ジンジャーエールで流し込み僕は街へ出た。